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「暇だぜ~。」
部屋の中央に敷かれている円形カーペットの上で大の字になっているシャーロックが間抜けな声を上げた。
先頃から何度も彼はその台詞を云っている。シャーロックには我慢ならない雰囲気だろう。アレンもデイジーも分かっているから注意しない。寧ろ必要以上に空気が緊張しなくなる、良いガス抜きだ。
「ポーカーでもするかい?」
椅子に座っているアレンは机の引き出しからトランプを出して見せる。シャーロックは首を振った。
「アレン強ぇじゃん。また財布空にされるもん。」
「ビビり。」
ベッドで横になっているデイジーがチクリと云った。シャーロックはばつが悪そうに顔をしかめた。
「やってみりゃ分かるぜ、デイジー…。」
「責めるなよ、デイジー。迂闊に戦いに出ないのは賢明だ。でもどうしよう?トランプが無いと僕らは再び退屈になる訳だけど。」
「あぁ!わーった!わーったよ!やろう!ポーカーか上等だ!」
やけになったシャーロックに微笑み、アレンはトランプを箱から出してきり始めた。デイジーも乗り気らしく、上体を起こす。
アレンはショットガンシャッフルで念入りにきったトランプは手際良く配った。
「いいねぇ、挑戦は青春の特権だよ。」
自身の手札に目を配り、アレンは楽しげに云った。
「ジジ臭いな。」
デイジーが云う。手札を見て顔をしかめた。
「アレンってなんかそこらへん大人だよなぁ。腹据わってるっつーか。」
シャーロックは手札を見て特に感慨は無いようだ。
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