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森林地帯。
閃き。
白刃が謳う。
閃き。
大地が蹴られる。
閃き。
鼓動が鳴る。
木々を薙ぎ倒し、ぽっかり空いた広場に二つの影。
蛤刃になっている頑丈な日本刀、斬り揉み海老名を振り回し、上段の構えを取る飛白。
抜いた刀、鍔打ち七兵衛を素早く鞘に戻し、抜刀の構えを取る黛。
飛白は獣めいたうなり声を漏らし、牙を剥く。威嚇しているようだが、笑っているようにも見える。
黛は無表情だ。無機質に無造作に振る舞っている。だがどれだけ感情を抑えても隠せない気概が出ている。鋭さに磨きをかけた、暴力的な気概。
飛白と黛の対峙は、見つめ合うだけでも戦いだった。
「終わりにしよう、飛白。もう這い蹲ってくれ。」
「寝ぼけてんのかぁ?寝たりねぇなら寝かせてやんよ。」
「戯れるな…!」
黛は柄に手をかける。抜刀。飛白は観察する。抜刀したのは五回。目を凝らしても見えるか分からない速度だ。
「末摘花!」
斬撃の軌道に乗せたチャージインパクト。見えない刃が接近する。
飛白は造作も無く叩き落とす。
黛が眼前に来た。縮地だ。
飛白は構えを下段に変え、勢い良く振り上げた。
「臥龍昇天!」
金属音。黛が見えない速度でやった抜刀とぶつかった。
黛は鞘に納めず刀を振り下ろす。飛白が受け止める。
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