8.ジャスト・ムーブ

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魔力だ。 白い靄に具象化された魔力が飛白を取り巻いている。 「ハイブリッド…ソウル!」 黛は歓喜する。 「そうだ!それだ!不出来とは云えその髄を叩き潰さなければ意味が無い!早く使え!早く使うんだ!」 「がっ…ぐっ…あっ…!」 飛白の体が痙攣する。靄は徐々に濃さを増し、飛白の体に密着する。 やがて魔力は表情の無い仮面を形成し、そこから脊髄に接続する形で伸びる管を生やした。 「…来い!」 黛は構えた。闘志が高まる。 「……。」 飛白はゆっくり背筋を伸ばし、飛白は正面を向いた。何を見ているかは分からない。真っ白で何ら飾りが無い顔めいたモノがあるだけだ。 飛白が跳躍した。空中を疾駆するように。速い。 黛は刀に乗せてチャージインパクトを放った。 「っ!」 黛は目を見張る。 跳んでいる飛白が不自然に軌道を変えたのだ。黛の背後に回る。 「まさかチャージインパクトを足場に…!」 確認する余裕は無い。背後から迫る斬撃を黛は受け流す。一撃一撃が重い。普段の飛白もこれだけの力を持つが、これはまた別だ。 気概が無い。黛への闘志、殺気すらない。酷く無味な攻撃だ。 しかしその部類の攻撃は読みやすい。感情によるブレが生じにくいからだ。 「はっ!」 黛は一分の隙を見出し、飛白の肩を蹴って怯ませ、スペースリープで一度離れる。
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