8.ジャスト・ムーブ

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己を斬り捨て続けた先に何がある。 今まで辿って来た道を否む気は無い。それどころか誇らしく思う。覚悟と素質が無ければ出来ない事だ。斬り捨てたモノに未練は無い。 だが、どうしても嫌な事がある。感じなくなる事だ。戦って得られるモノ、達成感や快楽でも何でも良い。それらを感じられなくなるのは嫌だ。 何の意味も無い。 楽しめない戦うに何の価値がある。楽しんで何が悪い。慢心して何が悪い。 自分しか得られないモノを得て、喜んで何が悪い。 例え武人としての在り方でもそれを否む事は許さない。 しがみついて何が悪い。 自己矛盾。 飛白が一番嫌いな問答。 平然と所有物を斬り捨てられる男にもしがみつくモノがある。どうするか頭の中であぁだこうだと議論する。 本当はハイブリッドソウルでも何でも良いから、圧倒的な力で問答を黙らせたい。消してしまいたい。 いいじゃないか。 下らない面倒を簡単に黙らせられる特権を持っているんだ。行使して当然だ。 「抱える覚悟をバカにすんな!」 不意に声が過ぎる。 あの小うるさいガキだ。リクとかいう、これまた間抜けな奴の僕だ。 何故今過ぎる。 腹立たしさしか生まれない。不快なだけだ。 だが、何故今、飛白の脳はその言葉を過ぎらせたのか。 共感なんてしていない。 だけど、 、、、、、 引っ掛かる。
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