8.ジャスト・ムーブ

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「強くなりたいのかい?おやまぁ、そりゃまた大層な望みだ。」 次はアンタか。 飛白は辟易するが、耳を澄ます。 懐かしい。 「今のお前さんは随分強いと思うがねぇ。まだ強くなりたいかい?業突張りだねぇ。」 うるせぇ。 てめぇも同じ部類だろうが。 「んじゃ、老婆心ながら云わせてもらおうか。いいかい?手前の力って奴は聞かん坊だ。大人しくしちゃくれねぇ。暴れ馬みたいなもんだ。だがらヒョイと手綱をかけてやる。だけどコイツが難しい。暴れ馬だぜ?ちょっとやそっとで云う事を聴く訳が無い!だから最初は戦わなきゃならねぇ。ンで、ポカスカやってる内に云う事を聴いてくる。此処までくらぁ上出来だ。後は馬が死なねぇように上手く操ってやりゃいい。 わかるかい? 武は己と戦う為にある。 武は己を守る為にある。 だからよ。 お前さんは、お前さんの為に武を振るえばいい。」 うるせぇよ。 …知ってんだよ。 飛白は踏み出す。 思考をゆっくり回す。 心を丁寧に開く。 動け、動け。 体は俺のもの。 空っぽの器の隅々まで水を送り出す。 水が行き渡った。 飛白は感触をゆっくり馴染ませた。 これでいい。 、、、 いける。 手始めだ。 両手を伸ばせ。 瞼を開けろ。 飛白の両腕にひんやりした空気が当たった。 飛白の視界を光が満たした。
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