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「しっ!」
飛白は鞘と刀を巧みに振るい、黛の斬撃をいなす。加えて斬撃を無効化する毎に距離を詰めた。
「っ?!」
黛は警戒して退いた。構えを変える。
「飛牙乱菊!」
藤帷子よりも重く、変則的な連続抜刀。ハイブリッドソウルを使用している飛白でも受けきれなかった技だ。
だが飛白は不敵な面構えを見せる。
「…猿じゃねぇんだ、黛。賢しい真似ばかりじゃ…飽きちまうぜ。」
飛白は下から斬り上げる構えを取る。
「臥龍昇天!」
強烈な斬り上げ。だが弾き返された。
「笑止!」
「そうかぁ?!」
飛白が左手に握った鞘で素早く地面を打った。
砂が舞い上がり、黛の顔に当たる。
「しまっ…」
砂が目に入った黛は痛みで体勢を崩す。
「ぬりぃ!」
賺さず飛白が斬り掛かる。黛は気迫を察して揺歩を使った。
「しゃらくせぇ!」
飛白は刀と鞘を捨て、黛の腹に抱き付いた。
「なっ?!」
飛白と黛はもんどり打って倒れた。黛の刀と鞘が散乱する。黛は引き剥がそうとするが右腕を強く掴まれた。万力で固定されたように動かない。すると首に圧力が掛かった。飛白が左腕で首を抑えたようだ。たまらず空いた手で離そうとするが掴むのが限度で、動かせない。
漸く砂が落ちた両目をゆっくり黛は開いた。
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