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「みんな!」
リク達の輪の外から声が入ってきた。
シオだ。
青みが強い藍色の髪、前髪が掛かる眉の下には二重の眼に浮かんだ空色の瞳が嬉々と光っている。背が少し伸びたようだ。
「シオ!」
真っ先に出迎えたのはやはりシャーロックだ。立ち上がってシオを招く。シオは小走りで駆け寄った。
「久し振り…久し振り!」
飛び跳ねんばかりに喜ぶシオにシャーロックだけじゃなくエリスやデイジーも歓迎する。
「ちょっと…シオ。」
シャーロックに熱いハグをされて舞い上がるシオをラウルとシェリルが一旦教室の片隅まで連れて行く。
「あれから大丈夫?体調とか…。」
ラウルが不安げに見やるのを余所に、シオは飛び切りの笑顔で返した。
「大丈夫だよ!気にしないでいいから。」
「無理してない?」
念を押すシェリルにシオは僅かに目を曇らせた。表に出て来ない、微細な不満が滲む。
「本当に気にしないでいいから…。」
シオはシェリル、ラウルの背後で首を傾げながら此方を見ているリク達を一瞥し、声を低くして云った。
「リク達に…云った?」
「まだだけど…。」
シェリルが答え、ラウルは首を振る。
シオは二人に顔を近づけ、深刻な眼差しで云った。
「良かった。リク達には云わないでね。絶対にだ。俺の問題だからさ…これは。」
断れない剣幕にシェリルとラウルは顔を見合わせ、ゆっくりと頷いた。
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