8.ジャスト・ムーブ

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「っ?!」 飛白は飛び退こうとする。しかし、黛が素早く手を伸ばして抱き付き、足を絡めた。 「くそっ!」 「スペースリープ。」 視界が光で埋まる。 次の瞬間には地面の感触が無くなっていた。 視界が戻る。空、足下に森。上空10m程に転移したらしい。 二人の体は容易く重力に捕まる。 飛白は黛を剥がそうとするが、上手く四肢を絡められて動かせない。黛は重心を操ってマウントを取った。 「黛っ…」 「落ちろ。」 黛の声の直後に鈍い音と痛みが起こった。飛白が地面に叩きつけられたのだ。 黛は飛白の体から離れ、鍔打ち七兵衛を回収した。 飛白は脳震盪を起こしたのだろう。足元が覚束無い。外は強くても中は人間だ。鍛えきれない箇所もある。 「飛白。お前はハイブリッドソウルを捨てるべきじゃなかった。」 いつもの黛の語り口。いやいつもより淡白だ。 「武人にとっては己すら、重い。」 「くっだらねぇ…。」 ふらつきながらも飛白は立った。疲弊しているが戦意は消えていない。 「洒落が下手だぜ、お前は。」 「抜かしてろ。」 黛は抜刀の構えを取る。飛白は無理矢理ふらつきを抑え、仁王立ちになった。 再び、火花が散る。 先程よりも静かに、強く。
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