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診断を終えるとペネロペはまた新しい噛み煙草を噛み始めた。
シオ達に安堵と疲労、悲痛が入り混じった空気が立ち込める。ペネロペの診断は悪くはなかったが、何よりもヲリエが倒れたと云う事実が重過ぎた。
「んっ…」
ヲリエが呻いて、目を覚ました。やけにしっかり目を開ける所が彼女らしい。
「チーフ!チーフ!」
シオを筆頭に、全員がベッドにのめり込んだ。リントまでもが身を乗り出している。
ヲリエは間近で全員の顔を見て目を丸くしていた。状況が良く分からないようだ。
「た、たんまたんま!状況を把握させて。此処はどこ?」
「保健室!」
シオが答えた。
「戦争は?」
「終わりました!」
ラウルが答えた。
「あたしはどうして此処に…」
「アンタがスカイダイビングして校舎の中に落ちたがらだ。」
リントが前にいるエンとラウルを押しのけてヲリエを指差した。怒りを隠せない様子だ。
「相変わらずの間抜けぶりだぜ。後先考えずにフリスと空中散歩するからこうなるんだ。軽傷で済んだ問題じゃないぞ?そもそも…」
シオは首を傾げた。シニカルな物言いは普段通りだが今のリントはぞんざいな口調はそのままに、やたら言葉を連発している。多弁な性格でも無い筈だ。
「大体アンタは腰を据えると云う事をいい加減に」
「はいはいはい。」
ずっと説教に晒されていたヲリエが徐に折れていない左手を挙げた。
左手は癖毛だらけのリントの頭に乗った。
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