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「私は診断室にいるから。シオ、あちこち触るんじゃないよ。」
ペネロペは噛み煙草を咀嚼しながら出た。
二人きりになったヲリエとシオ。シオは途端に緊張してきた。きっちり背を伸ばし、肩を張りながらも両手は腰の辺りで仕切りに動いている。
「隣のベッドに座りなよ。疲れてるんでしょ?」
「はい…。」
シオはおずおずとベッドに腰掛けた。
思えばヲリエと話すのも久し振りだ。改めて向き合うとぎこちない。気まずさがある。シオの事情を良く知るヲリエに対しては殊更だ。
「久し振りだねー。元気してた?」
「…はい。」
「今日って授業開始一日目なんだよね。ゴチャゴチャしていて忘れちゃった。」
可笑しくなったのかヲリエは笑った。
「そういえばアインは?」
「リント…先輩が部屋に返したそうです。俺はあの後会ってません。」
「そっか。巻き込んで悪かったなぁ。今度謝りにいかなきゃ。シオのクラスだよね?」
「…そうです。」
「なんか嫌そう。」
ヲリエに指摘され、シオは思わず顔をしかめる。シオはアインに苦手意識がある。
「えぇ~なんでぇ?シオが人を嫌うなんて珍しい。」
「嫌うとかじゃ…無いけど…。」
シオは歯切れ悪く話し出した。ヲリエはシオが云いきるまで静観している。
「アインは…真実…みたいな事を…知っている。そして…きっと…俺と同じ存在。」
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