9.君と

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「私は診断室にいるから。シオ、あちこち触るんじゃないよ。」 ペネロペは噛み煙草を咀嚼しながら出た。 二人きりになったヲリエとシオ。シオは途端に緊張してきた。きっちり背を伸ばし、肩を張りながらも両手は腰の辺りで仕切りに動いている。 「隣のベッドに座りなよ。疲れてるんでしょ?」 「はい…。」 シオはおずおずとベッドに腰掛けた。 思えばヲリエと話すのも久し振りだ。改めて向き合うとぎこちない。気まずさがある。シオの事情を良く知るヲリエに対しては殊更だ。 「久し振りだねー。元気してた?」 「…はい。」 「今日って授業開始一日目なんだよね。ゴチャゴチャしていて忘れちゃった。」 可笑しくなったのかヲリエは笑った。 「そういえばアインは?」 「リント…先輩が部屋に返したそうです。俺はあの後会ってません。」 「そっか。巻き込んで悪かったなぁ。今度謝りにいかなきゃ。シオのクラスだよね?」 「…そうです。」 「なんか嫌そう。」 ヲリエに指摘され、シオは思わず顔をしかめる。シオはアインに苦手意識がある。 「えぇ~なんでぇ?シオが人を嫌うなんて珍しい。」 「嫌うとかじゃ…無いけど…。」 シオは歯切れ悪く話し出した。ヲリエはシオが云いきるまで静観している。 「アインは…真実…みたいな事を…知っている。そして…きっと…俺と同じ存在。」
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