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「何コソコソ話してんだよ!恋バナか?恋バナか?!」
シャーロックが野暮ったらしいノリで絡んできた。
「そんなんじゃないよ!」
深刻さを払ってシオはリク達の輪に戻った。シェリルとラウルは浮かない顔でシオの背を見送る。
「シオ…。」
シェリルが心配そうに呟いた。
「今はそっとしようよ。シオなりに整理がついたんじゃない?」
理解を示しつつも、ラウルも釈然としない顔をしている。だが突っ立っているままにもいかず、輪の中に戻った。
「……。」
シオが入って一層盛り上がる中で、リクはシオを注視していた。
シェリルとラウルの様子とシオとのギャップ。
シオがあんなに明るく振る舞う事に正直違和感を覚えた。シオが根暗だと云う意味じゃない。ただ感受性の強いシオが恐らく彼を心配しているシェリルやラウルを気にしている前であんな手放して陽気に振る舞うのが奇妙だった。どうにも器用過ぎるし、隙を見せない打算めいたモノを感じさせた。
リクにはそんなシオが酷く危うく見えた。直感だが、不思議と真実味がある直感だった。
「着席ー…。ねがぁいまー…すー…。」
気怠い声を吐きながらカークスが教室に入ってきた。この男ばかりは年中こんな有り様だろうか。眠たげな目をこしながら、教卓に立った。
カークスの一連の行動の間に無秩序な教室の中が集束していく。カークスが教卓に立つ頃にはシオ達は整然と着席していた。
「夏休みぃ、明けー…一発目!課題ー…回収ぅぅはぁ、各授業でぇーやるんでぇ、よろしぃくぅー…。」
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