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数時間後。
「あら、もうお昼…授業はここまで。次の内容は予習しておいて。」
フィレンシェル・レストは電子ボードを消して教科書を閉じた。ウェーブがかかった髪を纏めていたゴムを外して下ろすと、教室を出て行った。
それと同時に教室の中は一斉に立ち上がる生徒達で騒がしくなる。
その騒ぎに紛れながらシオはいそいそと教室を出ようとした。
「あ!シオ・クォール!」
教室を出かけたシオの背中にアインの声が飛んできた。シオは背筋を震わせて足早にその場を去った。
ドラゴンキャッスルで話し掛けられて以来、アインは執拗にシオに付きまとってきた。話し掛けられたら質問攻め。
「今はどうなの?」
「力を見せて。」
「君について教えて。」
矢継ぎ早に核心を突いてくるアインから離れても、アインは遠目に睨みつけてくる。
それが昼休みまで三時限続いたのだ。シオはすっかりうんざりしていた。昼休みだけは静かに過ごそうとシオは一足先に教室を出た。
「シオ・クォール!」
アインが廊下に出たようだ。振り返るとアインが追いすがろうとしている。
シオは更に加速して逃げた。
一先ずシオは屋上に逃げようと考えた。今は静寂が欲しい。何とかアインを振り払って屋上へ行こう。
シオの歩みは尚更早くなる。
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