2.再会と遭遇

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サンドハースト校舎、正門前。 「…久しぶりだな。」 正門前に立った青年はサンドハーストを見上げて云った。懐かしさと憎々しさを込めた目がサンドハーストに向けられる。 薄く青みが混じるケミカルな銀色に染め上げた髪に、線が細い顔。髪とは裏腹な繊細な顔立ちだが灰色の瞳は憎々しさで暗く淀んでいる。両耳には幾つものシルバーのピアスが付けられ、彼の排他的な雰囲気をより増やしていた。 スヴェイン・アグリューは顰めっ面で舌打ちし、サンドハースト内に足を運ぶ。 停学処分になったスヴェインはまず監察員、生徒会の担当と面談をする。時間は二時からだが、スヴェインは二時間弱早く来ていた。彼の性分故だ。 昼休みで騒がしくなっている校内の間をスヴェインは淡々と歩いていく。スヴェインの外見に道行く生徒は驚きを隠せないでいるようだが、彼の顔立ちに見惚れた表情を見せる女子もいた。 目障りな視線を黙殺しつつ、スヴェインは校内を歩いた。 目的地は特に無かったが、スヴェインの足は屋上に向かっていた。二時間あまりの時間を潰す必要がある。退屈や煩わしさは感じていない。スヴェインからしたら当たり前のプロセスを当たり前に遂行していくだけだ。 スヴェインは生真面目な性根である。 外見こそ攻撃的だが彼は存外繊細な内面を持っていた。 ふと、道行く生徒と声が耳に入った。二人の男子生徒だ。 「会長はなんて?」 「あぁ、校内のドアの配置図を回して欲しいって…」 スヴェインは口を歪めて二人を睨んだ。鋭利な殺気を二人に突き刺す。 殺気に気付いた二人は怯えた様子でコソコソ立ち去った。 「うぜぇ。」 スヴェインはぼそりと吐き捨て、歩みを再開した。 瞳の淀みがまた深くなる。
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