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「ジャクリーンが庇って脱出した君はNOISEの編集室に向かった。後の調査で其処で君は倒れたらしいからね。魔剣をヲリエさんに届けようとしたのかな?」
黙りこくって耳を傾けているシオにレイルは目で同意を求めた。シオが小さく頷いたのを同意と見なし、レイルは続けた。
「其処で君は彷徨える精霊に出会したんじゃないかな?時間は十二時を回っているから他の時間制限付きの怪奇現象には出会えないし、以前魔剣を運んでいたと思われる執行部員が精霊に遭遇した話もあるからね。
だけど君が倒れた時に精霊はいなかった。戦闘になって君が精霊を消滅させた、または逃げたと考えれば自然だけど…。」
レイルは好奇に瞳を輝かせる。
「正体不明の敵を君が消滅、又は逃亡させたとしても、君が無事でいるとは思えないんだ。現に君は倒れていた。何より相手は怪奇現象だ。接しただけで何かしらの影響を受ける可能性は高い。それが仮に魔力に由来するモノ、召還体だとしたら尚更。
随分と長くなっちゃったね。ごめん。
じゃあ改めて訊くよ?
あの時、何があった?」
シオは少し、レイルが嫌いになった。逃げ場を断った上で問い詰めてくる。勘や推測が大部分の話だが、気味悪いくらい的中している。黙っている事がレイルの中で更なる確信を持っていく。
レイルが返事を待っている時間が意地悪なのか優しさなのかは分からない。
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