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「あの…」
少し間を置いて、シオはポツリと云った。
「俺を、どうして誘うんですか?」
「またいきなりだね。」
レイルは苦笑した。
「云わなかったっけ、理由?」
「俺じゃなきゃいけない理由までは…」
「そっか、云ってなかったか。勝手に誘って勝手に突き放してたのかなぁ、俺。」
シオはジッと睨み上げた。
「そうですよ。」
「何で知りたいんだい?君は結局断ったじゃない。今になってはどうでもいい筈だ。」
「……。」
シオは真っ直ぐ前を見た。床の一転を見つめ続ける。
「俺みたいな…得体の知れない奴を…誘うなんて…。」
「人の過去をとやかく尋ねる趣味は無いよ。気にしなくていいのに。」
「建て前なんていらない…!」
シオが語気を強めた。
「俺は、人間じゃないかもしれない。俺という存在も、何かわからない。そんな俺を…俺を…」
「あの時の俺は君を人間だと思ってたよ。」
感情的になるシオをレイルは制した。ハンバーガーを手に取り、レイルはかぶりつく。
「少し、ごっちゃになってるね。君が君自身を探す事に俺を巻き込んじゃっている。」
「あ…」
シオは湧き上がった感情を鎮めて、自省した。見境がなくなっている自分に気付く。
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