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再度ふっかけられたストレートな質問にシオは困惑した。月虎に聴かれるという状況が奇妙だったのもあるが、レイルの本人の前で答えることのはどうにも気恥ずかしい。
「無理に答えなくてもいいよ、シオ。月虎も無茶振りしない。」
シオの意を汲んだレイルがフォローに入った。彼も少し照れているようだ。その様子がシオを幾分気楽にさせた。
シオは気楽な気持ちのままに、呟いた。
「…レイルさんは、良い人だから。」
「「えっ?」」
レイルと月虎はキョトンとした。シオは反応を気にせずツラツラと述べる。
「初めは、正直悪い印象だった…。権力を傘に、皆を巻き込んで、好き勝手やっている人みたいな…。」
「マジか!レイル悪く見られてんぞ!」
「茶化さない。」
はやし立てる月虎を苦笑混じりにレイルが止める。
「だけど、チーフがあんなに気にかけてて…実際に喋ってみたら…全然、違った。誰よりも皆の事を思ってて、誰よりも一生懸命で…。」
「マジか!誉められてんぞレイル!」
「うるさい。」
またはやし立てる月虎にレイルはピシャリと突っ込む。
軽妙なやり取りにシオは思わず笑った。
「生徒会の人達があんなにレイルさんを慕っているのも分かったし…あそこまで、力を尽くして戦えるのも…分かった。」
「何か照れるぞレイル!」
「もういいよ。」
月虎が尚も振ってくるのをレイルは冷静に流す。シオの告白は佳境に入る。
「そんな人が傷付くのが嫌で…傷付きに行くのが嫌で…だから、止めたいんです。何も出来なかったなんて、後悔したくないから…。」
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