2.再会と遭遇

25/35

61人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
再度ふっかけられたストレートな質問にシオは困惑した。月虎に聴かれるという状況が奇妙だったのもあるが、レイルの本人の前で答えることのはどうにも気恥ずかしい。 「無理に答えなくてもいいよ、シオ。月虎も無茶振りしない。」 シオの意を汲んだレイルがフォローに入った。彼も少し照れているようだ。その様子がシオを幾分気楽にさせた。 シオは気楽な気持ちのままに、呟いた。 「…レイルさんは、良い人だから。」 「「えっ?」」 レイルと月虎はキョトンとした。シオは反応を気にせずツラツラと述べる。 「初めは、正直悪い印象だった…。権力を傘に、皆を巻き込んで、好き勝手やっている人みたいな…。」 「マジか!レイル悪く見られてんぞ!」 「茶化さない。」 はやし立てる月虎を苦笑混じりにレイルが止める。 「だけど、チーフがあんなに気にかけてて…実際に喋ってみたら…全然、違った。誰よりも皆の事を思ってて、誰よりも一生懸命で…。」 「マジか!誉められてんぞレイル!」 「うるさい。」 またはやし立てる月虎にレイルはピシャリと突っ込む。 軽妙なやり取りにシオは思わず笑った。 「生徒会の人達があんなにレイルさんを慕っているのも分かったし…あそこまで、力を尽くして戦えるのも…分かった。」 「何か照れるぞレイル!」 「もういいよ。」 月虎が尚も振ってくるのをレイルは冷静に流す。シオの告白は佳境に入る。 「そんな人が傷付くのが嫌で…傷付きに行くのが嫌で…だから、止めたいんです。何も出来なかったなんて、後悔したくないから…。」
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加