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「シオ?どうしたシオ!」
レイルがシオを揺さぶる。だがシオは呻きながらうずくまる。
「例の記憶か?シオ!そうなんだね?!」
月虎はシオを揺さぶるレイルの横顔を見てハッとした。レイルの目が爛々と輝いている。ギラギラと執着を露わに、欲求を高ぶらせる。
「シオ、気を確かにするんだ!落ち着いて自分を見ろ、記憶を思い返すんだ。それは誰の記憶なんだ?誰の記憶なんだ?!」
シオを掴みかからんばかりに詰め寄るレイルを月虎が引き止める。レイルの肩を掴み、自分に向かせた。
「レイル!お前が落ち着け!どうしちまったんだ!」
「邪魔しないでくれ、月虎。待っていたモノなんだ!やっと来たモノなんだ!」
月虎にもその気迫は向けられた。コバルトブルーの瞳がざわついているように、細かな光が瞬く。高ぶった欲求は攻撃的な眼光に成り変わり、月虎でさえも容赦なく突き刺す。
「何だよそれ!」
豹変したレイルに月虎は気圧されまいと息巻いた。
だがレイルは最早月虎を眼中におかない程、虚ろな視線になった。
「約束なんだよ、月虎…!俺にとっての、たった一つの!」
「今はシオを助けるべきだろ!やる事が違う!」
「邪魔するな、月虎!」
レイルは月虎を突き飛ばした。レイルとは同じ身長だが体格は月虎の方が良い。そんな月虎をレイルは片手で難無く突き飛ばしたのだ。
「痛っ…!レイル!」
レイルはシオを横たえ、体から青いオーラを発生させた。
「サクリファイス…!」
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