1.闇に踊る

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「シルクも云ってただろ?レイ!あの日の俺達は何も間違っちゃいない。ただ俺達がやった過ちは、残してしまった事だ。ウェルが死んだ事に対する怒りや悲しみを残してしまった事だ。だから…俺達が拭わなきゃいけない。未来にそんなモノ持って行っちゃいけないって、伝えなきゃなんねぇ。 そうだろう?!」 鮮やかな高説の後、ブルーノはレイを指差した。 「もう囚われるなよ?レイ!お前の未来も、曇っちまうからな!」 ブルーノは清々しい男だ。気障な素振りが目立つが、大らかでポジティブな人間性は皆を惹く。レイの鬱屈した心情は、ブルーノによって幾らか楽になった。 「…あぁ、ありがとう。」 レイは静かに笑みを浮かべて礼を云った。 レイの表情を見てブルーノは無邪気な目で覗き込んで来た。 「あらら珍しいね、レイがデレるなんてさ。」 「やめろ。」 近付いて来たブルーノの顔を押し返し、レイはそっぽを向いた。ブルーノはちゃかしながら身を引き、跳び上がってフェンスを越えた。 「さぁて、行こうか。お姫様をお見送りしなきゃね。」 「…アインか。」 レイも続いて跳び上がり、フェンスを越えた。 「まだ慣れないか?可愛い顔しているじゃない。」 「シルクがいつまで保つか分からないだろ。危険な賭けだ。」 レイの鬱屈がまた戻って来た。ブルーノも晴れない顔になる。だが、押し隠して、いつもの口調で話す。 「今更だぜ。シルクが決意したんだ。水を差しちゃいけない。」 「…だけど、あの人達の協力があるとは云っても…。」 レイに戻ってきた鬱屈はまた深まる一方だった。
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