3.インディケイション

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「ちげーよ。」 痛まない腹を探られた、と感じたのだろう。スヴェインの怒りがまた増す。瞳の淀みが深まる。 「少なくとも、そんな名前は使わねー。」 「おや。案外本気で返して…」 素知らぬ顔で云うアマデオの横顔をナイフが掠めた。後ろの壁にロザリオ型のナイフが突き刺さる。 「…怖い怖い。」 「くだらねぇ詮索は無しだ。うぜーんだよ、てめぇのそういう所。」 「オーライ、手を引こう。」 両手を上げてアマデオは降参のポーズを取る。白々しいが、文句を云った所で変わりはしないだろう。 「…転校生の容姿は?」 スヴェインは気を取り直して話題を戻した。アマデオは待ってましたとばかりに、手を叩いて身を乗り出した。 「そいつがまた波紋を起こしているのさ。どういう訳か、彼女の姿はシオ・クォールと似ているんだ。髪や瞳の色素やら、漂わす雰囲気やらね。仮にアイリス家の人間だとしてもシオ・クォールと外観が近付く理由が不明だ。全く以て不可解!そもそもシオ・クォールという人物の経歴が…」 「シオ・クォールなんて見た事ねぇよ。勝手に話進めんな。」 調子に乗って饒舌になるアマデオをスヴェインが両断した。 「あぁ、こりゃまた失敬。シオ・クォールは伝え聞くくらいだったな。」 「そいつのツラから話してくんねーとわかんねぇ。」 「オーライ、そこから語ろうじゃないか。」 両断されてもめげずにアマデオは揚々と饒舌を振るう。
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