61人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
「…そいつならさっき会った。」
「ん?どっちに?シオ・クォール?アイン・アイリス?」
「あー…両方だ。」
「ならそいつらだ。」
アマデオのテンションがまた高くなる。ギョロリとした目を輝かせ、鷲鼻を小刻みに動かした。
「どうだった?前者は良く知っているが後者はまだよく知らない。」
「喋った訳じゃねーよ。良くは知らない。…変な魔法を使うくらいだな。青い粒子を水と組み合わせる魔法。氷水系でそんなのあったか?」
「…青い粒子?シオ・クォール、男の方じゃなくて?」
「女の方だ。」
アマデオの目つきが変わった。軽はずみな好奇じゃない、思索する目つき。
アマデオの変化をスヴェインは感じ取る。
「何だよ。何か閃いたら教えろ。」
「今はまだ仮説の段階だ。語る価値があるかどうか。だが…いや全く、偶然とはかくも…」
「勿体ぶりやがって。」
舌打ちしたスヴェインはそれ以上問わなかった。
「大丈夫なんだろうな。邪魔になるような事になりそうか?」
「パンドラも開けなきゃ箱に何があるか分からないさ。彼方がそうなら、此方も。固唾を呑んで推移に身を委ねる。」
「ノープランって話だろ。ダラダラ喋んな。」
スヴェインに指摘されてもアマデオはせせら笑っていた。
「性急だよ、ミスター。楽しい物事には楽しいだけの対価が必要だ。それを喜んで支払うくらいの気概はあって然るべきだ、そうだろう?
笑えよ、スヴェイン。心躍る展開がこの先にきっと立ち並んでいる。詰まらない諍いやしがらみは捨ててしまえ。余計な手出しも御遠慮頂こう。
俺達だけのモノにするのさ。もしそうなった時を考えてみろ。
、、、、、、、、
ほら、笑えてくる。」
満面の笑みでアマデオは謳う。
だが、スヴェインは終始笑わなかった。頬杖を着いたまま、無感情な瞳をアマデオに向けていた。
最初のコメントを投稿しよう!