3.インディケイション

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「バカやったらしいな、レイル。」 クローズドホーム、レイルの居室。 ダイニングでアップルサイダーを飲みながら一息いれているレイルに、リカルド・ベイ・エメルソンが溜め息混じりに云った。レイルの向かいに腰掛け、銀縁の眼鏡を外して拭く。 「月虎が神経質になるのも珍しいが…。一年生相手に錯乱するのも…」 「錯乱は大袈裟だよ、リカルド。」 柔和な笑みで指摘するレイルにリカルドは目を細めた。 「冷静だったなら尚更問題だ。」 「ちょっと熱くなっただけさ。」 「シオ・クォール相手にか。」 レイルはアップルサイダーの瓶を見やる。 「スヴェインがいたしね。」 自然な調子だが、レイルは話題を意図的に反らした。リカルドは違和を感じたが気に止めずレイルの話題に乗った。 「お陰で最悪な面談だったよ。」 「噛みつかれた?」 「寸前だ。終始イライラしている人間と一対一だぞ。」 「ご愁傷様。」 レイルはアップルサイダーを飲み干した。空の瓶を置いたタイミングでリカルドは話を続ける。 「スヴェインに釘は刺しておいた。エドガー・ケースの再来はゴメンだろう、と。」 「何て返された?」 「抜かせボケ。」 スヴェインの話し方を軽く真似てみせたリカルドをレイルは笑った。 「らしいね。」 「云ってる場合か。」 レイルが必死に笑いを堪えようとするのを見て、リカルドは咳払いをした。耳朶が少し赤い。
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