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「か~っ!」
ブルーノは頭を掻いてレイの肩に抱き付いた。
「お前はホント根暗だよなぁ!」
「根暗云うな。」
ブルーノに振り回され、レイは暗い声音で抗った。
「云ったろ?自分の未来を曇らせるなって!シルクもアインも、俺達の立ち回り次第でどうにかするしかねぇだろ。
どうにか、な…!」
ブルーノはレイを引っ張ってヘリポートを歩いていく。
「今はアインに期待しようぜ。例の坊や…シオ・クォールとの接触にさ。」
「…全ては約束の為にか。」
「あぁ、守らなきゃな。」
並んで歩く二人の背で瞬く街の灯は相変わらず明るく宵を大地から照らす。だが夜が晴れる訳では無い。雲の輪郭を浮き彫りにするだけで、光が闇を突き抜ける事は無かった。
サンドハースト。
理事長室。
「転校生が来るのは明日だよ。適当に校内を案内してやってくれ。生徒会に任せてもいいよ。」
デスクの上でふんぞり返り、苺のシロップがかかったアイスフラッペを食べながら理事長は呑気に云った。夏でも相変わらず同じ格好だ。丈の長いコートに、しっかりフードを被っている。冷房が効いている云々は関係ない。
「生徒会に任せますよ。楽ですからね。」
「良い判断だ。転校生は…アイン・アイリスだったよね、確か。君のクラスだ。」
「えぇ、俺のクラスです。」
カークス・バレンタインは頷いた。彼の眠気が抜けない目つきも相変わらずだった。
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