3.インディケイション

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「あの!」 居たたまれない雰囲気を破ったのはアインだった。先程の動揺はナリを潜め、今までの頑迷な彼女に戻っている。 「シオ…君は、まだ体調が悪いのに無理してるんです。元気になるまでもう少し休ませてあげて下さい。」 「なるまでも何も…」 ペネロペは言い返そうとしたが、アインに切実な眼差しを向けられ、言葉を止めた。彼女は一思案し、溜め息をついた。 「ま、空元気ってのもあるね。分かったよ、もう暫く休んでいきな。ただあんまり空元気が過ぎるようだったら叩き出すからね。」 やれやれと首を振りながらペネロペはジロリとアインを見据えた。アインは震えた瞳を上げる。 「お見舞は結構だがね、あんまり刺激は良くないよ。えっと…アイン?昼休みも終わりだから教室に戻ってな。折を見て私がコイツを送り出すからさ。」 ペネロペは飄々と語っているが厳かさが滲む。アインはそれを敏感に悟り、狼狽える素振りを見せる。ペネロペを見る目は何か強く訴えかけるようだったが、ペネロペは頑として受け入れない。 アインは顔を伏せた。唇を噛んでいる。シオはそれを見て、何も云えなくなった。彼女の淡い唇が濃い赤に滲む。 「…失礼します。」 アインは足早に、風のように去っていった。 「あっ…」 シオは思わず声をかけようてしたが、アインは捕まらず、そのまま立ち去った。
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