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「正直、注目されるのは…嫌だ。話したくない事も…あるし。」
無意識だろうが、アインが少し心を開いているのがシェリルには分かった。それだけ素直な述懐だったのだ。
「分かるよ。」
「分かるの?」
「私も、取材受けたから。レグナン・ハウルロイドの娘として…。」
徴兵法を可決させ、世界中の若者に恨まれた男、レグナン・ハウルロイド。父親とはいえ、今現在サンドハーストでその事に触れる人間は殆どいなあとはいえ、自らその名を出すのにシェリルはまだ少しだけ力みが必要だった。外から云われる分には気にしていないが、過去に色々起こり過ぎた名前だからだ。
「レグナン・ハウルロイド…?あぁ、あの…。」
アインの反応は不思議なモノだった。嫌悪や同情とは無縁なシンプルな相槌だ。まるでレグナン・ハウルロイドに関する諸々に興味を持っていないように。
「…アインは何も感じないんだ。」
「え?」
「いや、何もない。私の話。フフッ、なんか面白い。」
「どうして?」
アインは眉を顰めた。
「アインって、シオみたい。純粋で素直で…意外と世の中の事知らなかったりする所とか。」
シオという名を聴いて思わずアインは立ち止まった。瞳を陰らせる。シェリルはアインが立ち止まった事に気付かず、そのまま進んだ。
「そういえばシオも昼休みの間見てないなー…」
「保健室にいる。」
「えっ?」
シェリルは立ち止まって振り返った。
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