4.ビフォア・スコール

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あの喧しい男と会わなくなったのは清々すると同時にどこか寂しくもあった。あのアクの強い男がリクの中で蟠っていた迷いを払拭してくれたのは事実で、またアマデオはいつもリクの行動を容認し、背中を押していた。 リクがアウトローめいた立場で自分を貫けるのは何だかんだでアマデオに依る所が大きいのだ。寂しさなどと云う可愛い感傷は無いが、何となく物足りない気持ちがあった。 無論、リクはその気持ちも表に出さない。 「その盗難騒ぎじゃないよ。あれはもう解決した…っていうか、終わった事だから。」 やっぱり。 なら益々リクは心当たりが無くなる。 「あのね、実は今日、スヴェイン・アグリューって人が停学から復帰するんだけど。リクは、知ってる?」 「…いいや。」 エリスが慎重に紡いだその名前にもリクは心当たりが無い。自分との関連性も分からなかった。 「誰?その人。」 リクの疑問を代わりにアレンが口にした。この金髪碧眼の友人は最近何かとリクの事に首を突っ込む。飄々としているわりにはリクの状況に対しては興味があるようだ。 「アマデオ・シュルツに並ぶ、お尋ね者のトップランカー。エドガー・ケースの中心人物の一人だったらしいの。」 リクは目を細めた。 アマデオは頻りに近い将来大きな事を起こすと云っていたが、ターニングポイントとしては分かり易い。 嘗ての同志の帰還。 生徒会が神経を尖らせるのも頷ける。 「…俺はあんまり知らないぜ、その人の事。と云っても、逆らっても無駄みたいだな。」 「いや、そんな事は…。ごめんね。」
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