4.ビフォア・スコール

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クローズドホーム。 エリスに通された部屋は殺風景な小部屋だった。ステンレスのデスクと椅子や四つ。窓は無く、扉も味気ない灰色だ。淡白な蛍光灯の光が照らすだけで、殺伐としている。 エリスは担当者を呼んでくると行ってしまった。 「待ってくれと云ってもなぁ…。」 リクは頭を掻いて、椅子に腰掛けた。 好意的な召喚では無い事は部屋を見て分かった。騙し討ちを仕掛けられる予感がした。そこまで自分が生徒会に嫌われているとは思っていないが、スヴェイン・アグリューの復帰と云うだけで生徒会直々から呼び出される自分は立派なアマデオの仲間だと認識されていると云う事だ。 「ふぅ…。」 リクは少し緊張していた。戦う時よりこういう改まった形の方が慣れない。何をされるか分からないから尚更だ。 数分経ってからドアが開かれた。 「およよ~?りっくん!」 飛び込んで来たのは黄色い声だった。 「ドロシーさん?!」 腰まで伸ばした、二つ結びのピンクブロンドの髪。あどけない無邪気な笑顔。睫毛が乗って、パッチリ開いた目立ちは愛らしい。半袖の夏服の胸元をはだけさせている姿は随分と刺激的な外観だ。夏の日差しに負けなかったのだろう白い肌は艶っぽかった。 ドロシー・ハプス・オーレル。 アマデオやリクと共に行動している二年生の少女だ。
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