28.ファントムペイン

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「生徒会に潰される前に戦うのも大事だけど、それ以前に私達の役目は何?此処で何が起こっているか伝える事だろ?それを忘れたら死んだも同じよ。そうなんのは御免だね。」 「・・っ。」 ラウルは俯いた。感情的になったジャクリーンに当たった自分を恥じた。 「反省の時間も無いよ。」 ジャクリーンはラウルの背中を叩いた。 「シェリルを置いて来た事、悔しいのは分かる。だけどね、アイツは自分でアルフレッドとやり合う事を選んだんだ。こればっかりはシェリルに花を持たせなよ。」 「でも、シェリルは・・・!」 「今の私達に出来る事はアイツの想いを汲んでやる事だけ。あいつの想いもまとめて、皆に伝えるんだ。」 ジャクリーンがラウルを促して歩き出した。ラウルは頷いて付いて行く。 「どこへ行くんですか?サンドハースト内なら逃げ場なんて・・・」 「リントさんがいい場所知ってんだと。取り敢えず合流地点までアンタ送るから。」 「ジャクリーンさんは?」 「私はまた戻るよ。シオをまだ見つけてないんだ。エンはチーフ達に張り付いてるし。」 「ジャクリーンさんも行かないと・・!」 「私のやる事はこれだから。ギリギリまで粘るよ。」 ジャクリーンはカメラをラウルに見せつけた。 「僕に何か出来る事はあるんですか?何もしないまま逃げるなんて・・・!」 「無いよ。」 ジャクリーンの宣告が、ラウルの胸に突き刺さった。痛む。 「逃げる事があんたに出来る事。」 ジャクリーンが振り返り、不敵な笑みを浮かべた。 「結構しんどいよ?これも。無事に生き残る方が難しいんだからさ、今は。」
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