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「生徒会に潰される前に戦うのも大事だけど、それ以前に私達の役目は何?此処で何が起こっているか伝える事だろ?それを忘れたら死んだも同じよ。そうなんのは御免だね。」
「・・っ。」
ラウルは俯いた。感情的になったジャクリーンに当たった自分を恥じた。
「反省の時間も無いよ。」
ジャクリーンはラウルの背中を叩いた。
「シェリルを置いて来た事、悔しいのは分かる。だけどね、アイツは自分でアルフレッドとやり合う事を選んだんだ。こればっかりはシェリルに花を持たせなよ。」
「でも、シェリルは・・・!」
「今の私達に出来る事はアイツの想いを汲んでやる事だけ。あいつの想いもまとめて、皆に伝えるんだ。」
ジャクリーンがラウルを促して歩き出した。ラウルは頷いて付いて行く。
「どこへ行くんですか?サンドハースト内なら逃げ場なんて・・・」
「リントさんがいい場所知ってんだと。取り敢えず合流地点までアンタ送るから。」
「ジャクリーンさんは?」
「私はまた戻るよ。シオをまだ見つけてないんだ。エンはチーフ達に張り付いてるし。」
「ジャクリーンさんも行かないと・・!」
「私のやる事はこれだから。ギリギリまで粘るよ。」
ジャクリーンはカメラをラウルに見せつけた。
「僕に何か出来る事はあるんですか?何もしないまま逃げるなんて・・・!」
「無いよ。」
ジャクリーンの宣告が、ラウルの胸に突き刺さった。痛む。
「逃げる事があんたに出来る事。」
ジャクリーンが振り返り、不敵な笑みを浮かべた。
「結構しんどいよ?これも。無事に生き残る方が難しいんだからさ、今は。」
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