28.ファントムペイン

26/31
前へ
/804ページ
次へ
「レイルっ・・!」 「ウェルさん!」 レイルが二刀のプラズマの剣、ダウンエクスカリバーでウェルキンを斬り付けた。ウェルキンは巧みに斬撃をかわし、距離を取ろうとするが、レイルが踏み込んで間を取らせない。 「腕を上げたなっ・・!」 「そういうあなたは落ちたみたいだ。シオの体、上手く扱えないんでしょう?」 ウェルキンが表情を変えた。不意に足の力が抜けてウェルキンが体勢を崩した。隙を突いてレイルがウェルキンの右肩を切り裂く。 「っ・・!」 ウェルキンは流れた血をレイルに浴びせた。レイルが怯んだ隙にウェルキンは近場の藪に飛び込んで身を隠した。 レイルは目元に付いた血を拭い去り、辺りを見渡した。ウェルキンは完全に気配を断っている。 「亡霊らしいですね。自分の体じゃないから上手く扱えない。大人しく成仏して欲しいな。」 「・・何で俺達、戦っているんだろうな?」 ウェルキンの声が聴こえた。レイルは素早く辺りを探る。ウェルキンは喋りながら動いているようだ。気配が目まぐるしく蠢いている。 「運命ですよ。」 「誰が決めた?」 「さぁ。」 「思考停止は良くないぜ?」 レイルはウェルキンの位置を掴んでダウンエクスカリバーを投げ付けた。プラズマが弾けて辺りを焼き払う。ウェルキンの姿は無かった。 「俺はお前を許した。俺の後を追ってアドレフォレストを実現させる理由も無い。戦う理由はどこにある?」 「理由は俺の中に。」 レイルがもう一本ダウンエクスカリバーを投げ付けた。次も外れ。 「教えて欲しいな・・そいつをっ!」 頭上から影が落ちた。レイルが振り返ると梢から飛び出たウェルキンが降ってきた。右手に青い粒子を蓄積させている。レイルは咄嗟に拳を握り締め、魔力を充填した。 「サテライトブルー!」 「ジェネラルフィスト!」 二人の拳がぶつかり合う。衝撃波が弾け飛び、辺りの木が震動した。
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加