4.ビフォア・スコール

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「勘弁してくれっ!」 「もーう。いけずぅ。密室に二人きりなのにさぁ。」 ドロシーはひらりとリクから離れると、デスクに腰掛けた。 「りっくん初だねー。」 「それはもういいっすけど…」 高鳴る動悸を無理矢理抑えつけ、リクは話を変えた。 「ちょっと意外ですよね。ドロシーさんが召喚されるなんて。」 「そうー?当たり前だよ寧ろー。だってリストカッターで行方が分かるのあたし達くらいだもん。」 「リストカッター?」 「あ、そっか。りっくんは知らないんだもんね、あたし達の正体。」 徐にドロシーはデスクの上に立ち上がった。そして芝居がかった所作で弁舌を振るい始める。 「レイル・コンスタンティノーブルと彼を取り巻く者達の野望を阻止する為に、文字通りレイルの両腕である執行部『両ノ手』を排除する為に結成されたのが我らがリストカッター!非道と非情を以て災厄を齎し、絶望と失望を振り撒く不倶戴天の大郎党!」 高らかに名乗り終えたドロシーは無邪気な笑みを浮かべる。 「どう?今のあたしアルルンみたいじゃなかった?!」 「アルスさんの真似なんてするもんじゃないッスよ。」 リクは半ば呆気にとられていた。リクの反応に満足したのか、ドロシーは誇らしげに腰を下ろす。 「えへへぇ。やってみたかったんだ!」 「それは良いっすけど…。」 リクは何やら疑問を抱いているようだ。
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