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「勘弁してくれっ!」
「もーう。いけずぅ。密室に二人きりなのにさぁ。」
ドロシーはひらりとリクから離れると、デスクに腰掛けた。
「りっくん初だねー。」
「それはもういいっすけど…」
高鳴る動悸を無理矢理抑えつけ、リクは話を変えた。
「ちょっと意外ですよね。ドロシーさんが召喚されるなんて。」
「そうー?当たり前だよ寧ろー。だってリストカッターで行方が分かるのあたし達くらいだもん。」
「リストカッター?」
「あ、そっか。りっくんは知らないんだもんね、あたし達の正体。」
徐にドロシーはデスクの上に立ち上がった。そして芝居がかった所作で弁舌を振るい始める。
「レイル・コンスタンティノーブルと彼を取り巻く者達の野望を阻止する為に、文字通りレイルの両腕である執行部『両ノ手』を排除する為に結成されたのが我らがリストカッター!非道と非情を以て災厄を齎し、絶望と失望を振り撒く不倶戴天の大郎党!」
高らかに名乗り終えたドロシーは無邪気な笑みを浮かべる。
「どう?今のあたしアルルンみたいじゃなかった?!」
「アルスさんの真似なんてするもんじゃないッスよ。」
リクは半ば呆気にとられていた。リクの反応に満足したのか、ドロシーは誇らしげに腰を下ろす。
「えへへぇ。やってみたかったんだ!」
「それは良いっすけど…。」
リクは何やら疑問を抱いているようだ。
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