29.ナイト・サイド・リベリオン

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「あなたは分からないでしょうね。」 打ち合いながらレイルが話し掛けてきた。 「過去を割り切れないで燻り続ける者達の苦しみが、痛みが。だから未来へ歩いて行こうなんて云える。だけど実際は違うんだ。過去を割り切れる人間なんてそういない。皆過去に縋り続けている。でもそれはね、意思が弱いとか、そんな事じゃないんだ。切っ掛けが無いだけなんだよ。マグマを厚い岩盤が抑え込んでいるように、燻り続けているだけなんだ。誰かが息吹をやれば、皆燃え立つ。そうしてやれば、皆で未来へ歩いて行けるんだよ。」 「皆・・?アンタにとっての皆って何?!こうやって邪魔者を排除し続けて、後に誰が残るの?!」 「何云っているんだ?皆変わらず此処にいるよ。」 レイルが自分の胸を指差した。 「例え俺独りになったとしても、皆の想いは此処にある。俺はね、ヲリエさん。世界の枠組みを少し変えに行くんだ。上から抑えつけるものが無くなれば、二度とこんな事は起きなくなる。」 「アンタが…それになっているんじゃないの?」 「毒を以て毒を制するってね。因果なものさ。」 「ストライクブレス!」 別方向から乱入を受け、レイルは後退した。ウェルキンだ。 「バカかお前は…!」 憤っていた。悔しさと悲しさを噛みしめるあまり、ウェルキンは紅潮していた。 「そうやって手に入れたものに何の意味がある!」 「あなた達に何が分かる!」 レイルが叫んだ。 「割り切られたあなた達に!一体何が分かるって云うんだ!」 「…知っているよ。」 ヲリエが云った。インディクーム=マンデスを持つ手を胸に当てる。
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