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「あたしだって、そうだったから。でもね、レイル。あたしは諦めたり、絶望したりはしていない。苦しくても辛くても、前へ行こうと思ったの。アドレフォレストは悲しい結末で終わった。だけどそれだけが全てじゃない。未来が分からないように、答えもきっとまだあたし達が見つけていないだけ。信じていけるから、前に進めるの。」
「・・俺の死が全てだと思わないでくれ。あの時の主役は俺なんかじゃない。あそこにいた、全員がいて、アドレフォレストは初めて成立したんだ。答えは俺の死にあったんじゃない、そこから先お前らが見てきた世界が、歩いて来た未来にある。それを知らせたかったから、こうして無様に世界に居ついていしまったんだろうな。」
「ウェルさんが教えてくれたんですよ。」
「違うよ。教えてくれたのはシオだ。俺も、シオから教わった。」
ウェルキンが踏み出した。レイルと向かい合う。
「シオがいる事が答えなんだ、レイル。俺達の想いは消されない。この先もずっと、この世界に在り続ける。何も不安に思わなくて良い。世界は変えられなくても、未来は変えられる。」
レイルがトワイライトバルムンクを下した。戦意を失ったのだとヲリエとウェルキンは考えた。自分達の声が届いたと、二人は安堵していた。
「パルスガジェット。」
だが、レイルの背中から円錐型の物体が二つ現出した。仄かなオレンジ色の透明なリングが幾重にも重なったそれは衝撃波を噴出し、レイルを空中へ浮かせた。
「やっぱり、あなた達はダメだ。」
残酷な宣告だった。ヲリエとウェルキンが持った安堵は虚しく砕け散った。
「そんな悠長な事を云っているから、大切なモノが無くなっていくんですよ。未来は只管俺達を急き立てる。色んなものを失くしていきながら、傷つきながら、俺達は前に進んでいく。」
トワイライトバルムンクを交叉させ、レイルは瞳の闘志を光らせた。
「そんな俺達のとっての答えは、掴むものだ。見つけるものじゃない。
教えてあげますよ。俺達の答えの片鱗を。答えを見失った、あなた達に!!」
レイルが飛翔した。
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