29.ナイト・サイド・リベリオン

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「ソードダンス、ラプソディー!!」 空中からの斬撃も含めた、三次元的な攻撃。ヲリエとウェルキンは必死に抵抗する。 (こいつは・・!) ウェルキンは感じていた。斬撃から伝わるレイルの想いを。 (全てを失くすつもりだ。自分と云う存在の、最後の一欠片が無くなるまで。命の、最後の一滴が尽きるまで。全てを掛けて戦っているんだ。例え自分の大切なものと別れる事になっても、こいつは・・・!) ウェルキンは歯を食い縛った。 (させるか!こいつの心は、どこにも行かせない!!) 「レイル!!!」 ウェルキンが青い粒子を取り込み、大気を震わせた。 「っ?!」 「ウェルさん!」 ウェルキンの放つ青い粒子は一挙に広がったかと思ったら、一斉にウェルキンの体の周囲に集結した。それらは集まり、渦巻きながらも徐々に一つの形を作り上げていく。 翼だった。八対の青い翼がウェルキン、シオの体から伸びていた。 「それは・・?!」 ウェルキンが翼をはためかせた。青い風が吹く。空中に佇んでいたレイルは戦慄した。その輝きに。 「逃がせないよ、レイル。絶対に逃がさない。」 ウェルキンが飛び立った。レイルへ接近する。レイルはトワイライトバルムンクを振るい、迎え撃つ。だが青い風に目が眩む。それだけ眩しい光が風になってレイルに向かっていた。 「何で、あなたはっ・・!!」 「レイル!!」 「そうやって、俺を・・・・!!!」 青い閃光が辺りを包んだ。ヲリエは思わず目が瞑った。温かくも、鮮烈な光が瞼すら通して伝わってきた。 ヲリエが瞼を開けた時、辺りは静かだった。ウェルキンが地面に突っ伏して息を乱していた。翼はまだ残っている。幻では無かったのだ。青い煌めきは幾分弱まったようだが、その鮮やかさや美しさは顕在だった。 ウェルキンの前でレイルが倒れていた。プラズマは発生していない。怪我は無いようだ。
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