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「レイルさんの野望って…何ですかね?」
「えっ?!りっくん知らなかったの?!」
ドロシーの大袈裟なリアクションにリクはバツの悪い顔をした。
リクがアマデオ一派、もといリストカッターに身を置いている理由は生徒会が使う手段に反発したからだ。思えばレイルの目的に言及した事は無かった。
単細胞過ぎる自分をリクは恥じた。
「ま、りっくんはあたし達と連んでる理由が理由だし、仕方ないか。」
リクの意を汲んだドロシーは今度は普段の、気の抜けた調子で話し始めた。
「表に出してはいないけど、レイル・コンスタンティノーブルの目的はセカンドアドレフォレストなんだって。」
「セカンド、アドレフォレスト…。」
「具体的に何をするかは分からないけど、多分、ユニオンに喧嘩を売るんじゃないかな。」
「ユニオンに?」
リクは驚きを隠せない。相手は世界各国に多大な影響力を持つ多国籍政治連合体だ。それに喧嘩を売ると云うのだ。
「あたしもあんまり詳しく知らないんだけど。あたしもりっくんみたいなもんだからさ。」
ドロシーは頭を掻きながら照れ笑いした。
「そうなんですか?」
「あたしはりっくんみたいに正義感が強いとか無いからさー。ただ楽しければいいんだ。」
リクは目を丸くした。想像していたよりずっとラフな動機だったからだ。
「あー、その顔禁止!肩身狭くなるからぁ。」
口を尖らせるがドロシーは楽しそうだ。
「あたしの家、ちょっとした貴族みたいな感じなんだ。もう格式って云うの?バカみたいに厳しくてさぁ。だからサンドハーストに来たんだ。全寮制で自由そうだったし。」
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