30.サイレンス

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メイデンはレイルの部屋にいた。眺めの良い窓から外をずっと見下ろしていた。 見続けていた。 レイルがアルフレッドと月虎を連れて単独行動し、驚愕の真実が明かされNOISEのプラントが落下するまでをを。そして今も、戦闘が続く森林地帯を見続けている。 自分でも驚く程冷静に見ていた。淡々とした傍観者と云う立場を徹底して貫いていた。石像のように。 「姉さん。」 ルアードが声を掛けてきた。襟の広いTシャツを身に付けている。髪を後ろで束ねていた。 甲冑や制服以外の姿を見たのはが久し振りな気がする。隠密行動が多く、姉弟である事も伏せていた為私生活での接触は極力避けていた。ルアードの方から避けていた気がする。 「リカルドが増援を編成したそうだよ。もうじきあいつらも終わりだ。」 「無駄な事を。」 メイデンはドライに云い放った。 「わざわざ総出で行かなくても終わりよ。」 「万が一が怖いんだよ。相手はNOISEだからね。」 「万が一って、それ?」 メイデンが鼻で笑った。ルアードは困惑する。 「レイルが本気を出せばNOISEなんて目じゃないわ。それだけの実力をレイルは持っている。三年もいて分からないのかしらね、リカルドの奴。本当に恐れるべきなのは…」 メイデンが腕を組んだ。二の腕を強く掴む。それ以上は語らなかった。
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