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メイデンはレイルの部屋にいた。眺めの良い窓から外をずっと見下ろしていた。
見続けていた。
レイルがアルフレッドと月虎を連れて単独行動し、驚愕の真実が明かされNOISEのプラントが落下するまでをを。そして今も、戦闘が続く森林地帯を見続けている。
自分でも驚く程冷静に見ていた。淡々とした傍観者と云う立場を徹底して貫いていた。石像のように。
「姉さん。」
ルアードが声を掛けてきた。襟の広いTシャツを身に付けている。髪を後ろで束ねていた。
甲冑や制服以外の姿を見たのはが久し振りな気がする。隠密行動が多く、姉弟である事も伏せていた為私生活での接触は極力避けていた。ルアードの方から避けていた気がする。
「リカルドが増援を編成したそうだよ。もうじきあいつらも終わりだ。」
「無駄な事を。」
メイデンはドライに云い放った。
「わざわざ総出で行かなくても終わりよ。」
「万が一が怖いんだよ。相手はNOISEだからね。」
「万が一って、それ?」
メイデンが鼻で笑った。ルアードは困惑する。
「レイルが本気を出せばNOISEなんて目じゃないわ。それだけの実力をレイルは持っている。三年もいて分からないのかしらね、リカルドの奴。本当に恐れるべきなのは…」
メイデンが腕を組んだ。二の腕を強く掴む。それ以上は語らなかった。
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