30.サイレンス

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校舎外、寮の近くの森林地帯への入口。 「編隊が済み次第片っ端から森林地帯に送り込め!ぐずぐずするな!」 リカルドが激を飛ばし、執行部員達がそそくさと隊列を組んで続々と森林の中へ入って行く。リカルドは忙しくなく、集まっている執行部員を見て回っている。 「いきり立たないでよ、リカルド。面倒くせぇ。」 忙しなく動くリカルドの背中に険のある言葉を浴びせかけたのはレオノーラだ。ビキニのバスト部分をあっぴろげに曝しながら、デニムのミニスカートをはためかせている。 「破廉恥だぞ。」 「見てんなよ、死ね。」 「理不尽だ。」 リカルドの様子がおかしい。表情には出さないが、動揺している。予期せぬ事態を察知している。レオノーラはそれを突き出そうと、邪険にされながらも言葉を重ねた。 「何焦ってんのよ。別に私達まで出張らなくていいでしょ?」 「念入りだ。相手はNOISEだぞ。」 「レイルの本気知らない訳じゃないでしょ。ピリつく理由も知らないで動かされる立場になってよ。」 リカルドは煩わしげにレオノーラを見やった。レオノーラは悪びれずに見返す。 リカルドはそっぽを向くと、呟くように云った。 「レイルが連れ出した男は監察員が捕えていたユニオンのスパイって事は分かっているな?」 「当然。監察員が首突っ込んでくる事を防ぐって話でしょ。だからってレイルの方へ首を突っ込む理由が・・」 「ユニオンがスパイを一人で済ませると思っているのか?」 レオノーラはハッとした。 「まさか・・」 「今レイルは少数で、広大な森林の中にいる。闇討ちするには、良い機会過ぎるだろう。」
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