30.サイレンス

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森林地帯内部。 「・・・たとえ人生とは刻々と死の苦しみを味わいながら死んでゆくことであっても、ひと思いに死ぬよりはまだましなのだから・・。」 戯曲の一節を口ずさみ、シオの体をヲリエの隣に寝かせた。 二人とも息はまだある。だが負傷しており、致命的とまではいかなくても、危険な状態だった。 「君は、俺を逃がさないと云ったね。その言葉、正直嬉しかった。俺が行く果てに誰かがいてくれるなんて、どれだけ心強いんだろう。心の片隅で俺も望んでいたかもしれない。」 シオは語らない。堅く目を瞑り、寝入っている。 「けどね、やっぱり駄目なんだよ。この道は俺が行かなきゃいけない。俺にしか出来ず、俺だけがやらなきゃいけない。もう少しだけ、君やヲリエさんが分かってくれたら…」 云いかけて、レイルは自虐的に笑った。 「いや、変わらなかっただろうな。全てを知った所で…君達は。だからこそ、こうなったんだ。君達は際限なく俺の前に立ちはだかり、俺は際限なくそれを乗り越え続ける。何も変わらない。今までと同じように、 、、、、、、、、、、、、、 俺と君達は向かい合っている。」 「向き合う以外にも立ち位置はあるだろう?」 穏やかな横やりがレイルの言葉を止めた。レイルはゆっくり視線を動かす。
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