61人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の事情を語る彼女は年相応のあどけなさがあった。危うげだが、無邪気で爛漫なだ。
「サンドハーストに入る時に決めたんだ。好き勝手にやるって。誰にも文句は云わせない!あたしはあたしの青春を謳歌する!」
高らかに宣言するドロシーだがやってきた事を思い返すと、リクは呆れるしかなかった。
「あー!りっくん絶対今軽蔑したでしょー!」
「してないっすよ。」
「うー…。まぁ理解出来ない気持ちは分かるけどさぁ。」
ドロシーは、自覚はしているようだ。
「でもあたし達、そう遠くない未来に束縛だらけの社会に出るんだよ?なのにさぁ、こんな学校の中であぁしちゃいけない、こうしちゃいけないって縛られるのは我慢なんないよ。」
その気持ちは分かった。生徒会の手腕は強引な一面がある。絶対的な統制を重視し、逆らうモノや反したモノはどんな手段を使っても排除する。自分達に従う、そぐう者だけを組み込んでいく。
リクも、そんな生徒会の体質に反発していた。
思えば、アマデオはそんな人間の受け皿になっていたのかもしれない。大勢と自分にギャップを感じる人間が自由に各々の有り様を全うさせる。アマデオが意図してあのスタンスを取っているかは分からないし、あの人格は問題だらけだ。だがリクはそう感じてやまなかった。
もし誰もが大勢に倣うだけだったら、アマデオはどうなるんだろうか。彼は孤立無援になろうが戦うだろう。彼はそういう人間だ。救いようも無く、どうしようも無くそういう人間なのだ。
リクは切なさを覚えた。
望むままに生きれば、アマデオは孤独になるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!