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「シオがこんな形で暴走するのは我々にとっても計算外だ。エクスビーイングに関しては我々はまだ無知に等しい。こうなった以上、シオの様子を改めて観察しなければならない。理事長はそれをお望みでね。私達を遣わしたという訳だ。」
「保護者だから、ですか?」
「勿論。」
「俺が断ったら?」
「すまないが、シオは私達にとっても大切な存在だ。押し通らせてもらう。」
「いい戦力を失うのは惜しいからですか?」
「君は友人をそう云うのか?」
虚を突かれたように、レイルが目を丸くした。
「友人を助ける理由なんていらないよ。しいて挙げるなら、『独りに出来ないから』、だ。」
レイルが唇を噛み締めた。言葉が琴線に触れた。嫌な和音が響いた。
「・・今までみたいに、この学校を機能させる歯車でいてくれたら良かったんですが。」
「残念ながら私は生まれついての人だ。」
ベルクロフトが指を鳴らした。カークスがバルディッシュを構えて跳んだ。
「サンドウィッチベール。」
砂嵐が巻き起こり、カークスの周囲に纏わる。そのままカークスは突進した。
レイルは指を鳴らして、大気に波紋を起こした。
「ソリッドリムーブ。」
揺らめく大気の壁に阻まれても、カークスは突進した。砂埃を撒き散らしながらも、掘削機のようにサンドウィッチベールは回転し続ける。摩擦熱で砂が赤く染まっていく。最初は綺麗だった波紋が歪んでゆく。
レイルは唇を舐めた。
「流石っ・・・!」
「スカーレットデザート。」
レイルは後ろに飛び退き、針を三対、両手に持った。
「グランドヴェスティージ・・!」
「その魔法・・?!」
カークスが表情を変えた瞬間、レイルは針を投げ付けた。
「ローゼスシェイド!!」
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