30.サイレンス

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「シオがこんな形で暴走するのは我々にとっても計算外だ。エクスビーイングに関しては我々はまだ無知に等しい。こうなった以上、シオの様子を改めて観察しなければならない。理事長はそれをお望みでね。私達を遣わしたという訳だ。」 「保護者だから、ですか?」 「勿論。」 「俺が断ったら?」 「すまないが、シオは私達にとっても大切な存在だ。押し通らせてもらう。」 「いい戦力を失うのは惜しいからですか?」 「君は友人をそう云うのか?」 虚を突かれたように、レイルが目を丸くした。 「友人を助ける理由なんていらないよ。しいて挙げるなら、『独りに出来ないから』、だ。」 レイルが唇を噛み締めた。言葉が琴線に触れた。嫌な和音が響いた。 「・・今までみたいに、この学校を機能させる歯車でいてくれたら良かったんですが。」 「残念ながら私は生まれついての人だ。」 ベルクロフトが指を鳴らした。カークスがバルディッシュを構えて跳んだ。 「サンドウィッチベール。」 砂嵐が巻き起こり、カークスの周囲に纏わる。そのままカークスは突進した。 レイルは指を鳴らして、大気に波紋を起こした。 「ソリッドリムーブ。」 揺らめく大気の壁に阻まれても、カークスは突進した。砂埃を撒き散らしながらも、掘削機のようにサンドウィッチベールは回転し続ける。摩擦熱で砂が赤く染まっていく。最初は綺麗だった波紋が歪んでゆく。 レイルは唇を舐めた。 「流石っ・・・!」 「スカーレットデザート。」 レイルは後ろに飛び退き、針を三対、両手に持った。 「グランドヴェスティージ・・!」 「その魔法・・?!」 カークスが表情を変えた瞬間、レイルは針を投げ付けた。 「ローゼスシェイド!!」
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