61人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
カークスは表情を変える。レイルは構わず続けた。
「昔同級生全員を半殺しにしたサンドハースト史上最強最悪の生徒。同級生全員の両腕と両足を砕いた伝説の術が見られるなんて、驚きですね。」
「・・どこから聴いた?」
「昔のNOISEを読めばわかりますよ。随分なご活躍ぶりだったようで。」
レイルが立ち上がった。カークスは舌打ちした。マッドロックの力を受けて尚も立てるとは。両腕、両足の、石の周りが赤黒くなっている。内出血で酷い状態になっているだろう。それでもレイルは立ち上がる事を諦めなかった。
「あなたみたいな人には分からないでしょうね。俺のような人間の気持ちなんて・・・。」
「・・知らなくて当たり前だ。俺とお前は、違う生き物みたいなもんだ。」
「冷酷だなぁ・・!」
立ち上がり掛けたレイルがよろめいた。倒れる。やはり限界だったようだ。何度も立ち上がろうと試みるが、上手くいかない。
次第にレイルは動かなくなった。荒々しくなっていた息も弱まり、終いには聞こえなくなった。
「・・・・・。」
「カークス、感情的になったか?」
「どういう意味すか?」
色眼鏡を掛けた上司にカークスはうんざりした目線を投げかけた。
「最近の学生は耳聡く目敏い。」
「そのようで。」
「その上感受性も強い。気を付けろよ?素知らぬ顔で我々の深みへ入り込む。
、、、、、
今みたいに。」
最後の一言に含みがあるのを察したカークスは、背後から迫る気配を感じた。物云わず振り返り、バルディッシュを一薙ぎする。
手応えがあった。レイルが左手でバルディッシュの柄を掴み、受け止めていた。両手両足の石が砕けていた。痛ましい内出血が、丁度石のラインを辿っている。
「結構狙ったのに・・悔しいなぁ・・!」
「砕いた・・いや、溶かしたのか・・!」
レイルの力は拮抗している。レイルは右手でもバルディッシュを掴んでいた。退けばもぎ取られる。カークスは押し返した。
最初のコメントを投稿しよう!