30.サイレンス

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「ジョゼフ先生は・・どうしたんですか?」 「・・?」 レイルの唐突な問いにカークスは眉を顰めた。 「風の噂ですけど・・謹慎されたとか。大方、理事長の決定に逆らって、俺達を力付くで押さえ付けようとしたんでしょうが。」 「邪推だ・・!」 「あの人は担任だったし、良く話していたんで分かるんですよ。云い方はぶっきらぼうで、冷たい感じだけど、その実結構なお節介焼き。」 「だからどうした?」 「それに比べてあなたは、ですよ。」 レイルが押した。カークスは踏ん張る。想像以上の力の強さだ。 「仲間達から評判は聴いていますよ。釈然としない云い回しと態度が不評のようで。学期末の教員アンケートは目を通されましたか?」 「生憎、首は繋がっている。」 「あなたの個性、って事もあるから無理して首を飛ばす気はありませんよ。」 「ジョゼフさんみたいに構ってやればいいのか?今更大人に甘えたいようにも見えないが。」 「まさか!ただね、大人に甘える大人は見てられないだけですよ。」 カークスが歯軋りした。感情を乱した。その隙を突いてレイルはバルディッシュを毟り取る。 「っ!」 「動揺するなんて!」 レイルがバルディッシュを器用に回し、柄でカークスを打った。カークスは肩を抑えて後退する。 「あなたらしくない・・!」
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