30.サイレンス

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エンの道程の木々が青白い光に包まれた焼失した。背後から次々とプラズマの弾丸が飛んでくる。 「・・お早い・・!」 振り返ったエンの視界にレイルがいた。パルスガジェットで低空飛行している。木や岩などの障害物を軽々とかわしながら、高速でエンの下へ向かっている。 「手間をかけさせるね。」 「そりゃあ、まぁ!」 エンが新しい缶を取り出した。次はスタングレネード。 「譲れないっすから!」 エンがスタングレネードのピンを抜いて投げ付けた。 が、スタングレネードが発光するより速く、プラズマが飛来し、スタングレネードを飲み込んだ。急速にスタングレネードが焼ける。 「そうか。」 レイルが眼前に来た。右手にダウンエクスカリバーを持っている。 「なら、お互い様だ。」 光の切っ先がエンの右肩を貫いた。 「がっ・・ぐっ!」 エンはレイルを蹴っ飛ばして後ろへ跳んだ。ヲリエに怪我が無いように受け止めながら地面に転倒した。ポケットやウエストポーチに入れていた道具が四散した。カメラやPDAもある。 右肩は焼けていた。出血は無いが。酷い状態だ。中の肉まで焼けている。 「つぅ・・・!」 エンはヲリエを寝かせ、カメラやPDAを拾った。逃げるより先にそうしなければならないと本能が命じていた。 「やぁ、終わりにしよう。」 レイルが降り立った。死神のように。悪魔のように。 戦慄を覚えたのは久方振りだ。エンは生唾を呑み、覚悟を決めた。
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