30.サイレンス

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「終わりっすか・・・。」 逃げられない。 火力も能力も戦闘力も違う。元々戦闘要員じゃなかったエンにとっては蟻が人間と戦うのと同じ構図だ。エンにはもう抗う術は無い。 しかし、抗う意思は尽きていなかった。 PDFにメッセージが受信されていた。内容は読まずとも分かった。 エンはニヤリと笑う。 「あぁ・・・レイルさん。止めと来ますか?」 「そうなるね。」 レイルは歩み寄る。冷酷な切っ先がエンを捉えている。 「・・じゃあ、お早めに、お願いします。」 エンの言葉にレイルは表情を変えた。 大量の紙片が吹雪き、レイルの視界が真っ白に埋まる。レイルは咄嗟にダウンエクスカリバーを振るって、紙片を焼き払う。だが、圧倒的な物量には太刀打ちできない。 「リントか・・・!」 レイルはプラズマを増幅させ、一挙に焼き払おうとする。 「テンタクルライザー!!」 横一直線の巨大なプラズマが紙片を纏めて焼き払う。紙片は一瞬で塵に帰した。 「・・・やられた。」 塵が舞う中、レイルは目を顰めた。 その場にはレイルとエンしかいなかった。ヲリエの姿は消えていた。PDAやカメラなど、エンの持ち物も消えている。 「かははははっ!」 大の字に寝ているエンが高笑いした。
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