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「さて、お二人を召喚した理由はお察しかしら?」
「はいはいはい!スヴェイン君が帰って来たから!事情聴取でしょ?!」
ルキアの問いにドロシーが元気良く答えた。場違いな元気の良さにドロシーは怪訝な顔をするが、ドロシーは気にしない。
「お分かりならいいわ。手間が省けた。」
「でもスヴェインさんと面識なんて無いし、帰ってくるって知ったのはついさっきッスよ?」
リクは正直に云った。駆け引きのノウハウなんて分からないが、正直な告白が一番だと考えた。
「あたしも友達だけど帰って来るなんて知ったのは昨日だよー?」
「彼の復帰についてアマデオから何か指令が回っていたりはしない?」
「ないよー。アマデオくん最近音信不通で行方不明だもーん。」
ふと、リクは首を傾げた。
ドロシーはいつもの調子とはいえ相手を逆撫でするような甘ったるい口調で話している。加えて内容も無味だ。
なのにルキアは随分と冷静だった。彼女は気が長い性格には見えない。そうでなくても、緊張感がまるでないドロシーの態度には多少の苛立ちを覚える筈だ。
「あら、それは残念です事。」
何も知らない、と云う返答を追求する素振りも見せない。聞き分けが良すぎる。
平穏過ぎる状況に本能は益々警鐘を鳴らす。リクは机の下で拳を握った。体は既に臨戦に備えている。
「どうしましょう。わざわざ御足労頂いたのに詰問が思いの外早く終わってしまいましたわ。如何しましょう、どうしましょう。」
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