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「スヴェイン帰ってたのかよ。云えっての。」
数分後、アマデオと共に二人の青年が現れた。
一人はボサボサの黒髪に鋭い両目をした青年。上半身は裸で下はハーフパンツとビーチサンダルだけだ。汗が滴る焼けた肌に覆われた、鍛え上げられた筋肉が無駄無く体に付いている。右手には日本刀を持っている。
もう一方はダッシュウォーターブロンドの髪を肩まで伸ばし、角のように立たせている。晩夏とはいえまだ暑いこの時期にそぐわない深紅のマント型コートを羽織っている。精悍な顔立ちとは裏腹に醸し出している雰囲気はこの場から浮いている。
「よー、飛白。」
「腑抜けちゃいねぇだろうなぁ。」
「問題なし。」
スヴェインはベーッと舌を出した。
尋ねたボサボサ頭の男、蜻蛉番場飛白は満足げに笑んだ。
「スヴェイン殿!御息災で何より!」
「お前はまだそのキャラかよ。」
やたら畏まるクレムフェン・アルス・ウォーデンクルフにスヴェインは笑いかける。普段何かと感情的になりやすい彼にしては珍しく上機嫌だ。
「状況は分かってんな?」
「尻に火が点いているってとこだろ。前置きはいらねぇよ。間髪入れずに皆殺しだろ。」
「闇雲に突っ込んだら意味がねぇ。まぁ、聴けよ。」
殺気立つ飛白を宥めるスヴェインは笑っていた。
暗く、暗く。
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