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NOISE編集室。
「…噂の転校生、ね。」
四之宮ヲリエはアッシュブラウンの髪を撫でながら手元の資料を眺めた。制服のシャツの胸元をはだけさせ、半袖を捲っている。オフィスチェアの上で胡座をかいている姿は粗忽だが、思慮深く資料を見詰める横顔は端正だ。
ふと隣に青年が立った。軽いウェーブがかかったプラチナブロンドの髪に青い瞳。貴公子のような品格と爽やかさを持っているのは、シルト・フェンレートだ。
シルトはコーヒーをそっとヲリエの隣に置いた。
「シェリルが連れてくる娘かい?」
「そっ。タイプ?」
「お茶をお誘いしたいね。」
シルトは女好きだ。好色な訳では無くフェミニストの類に入る。それも本能的に女性に優しく出来る希有なタイプだ。ヲリエはそんなシルトに呆れつつも、好感を持っていた。
「シェリルが連れてくる奴スか?」
ヲリエと向かい合う形で一番出口に近い席に腰掛けている青年がボソリと云った。
寝癖だらけの黒髪を時折忙しなく掻き、派手な音を立ててパソコンのキーボードを叩いている。黒縁の眼鏡の奥には眠たげな眼が怠そうに陰っている。
「どーせロクでも無い奴なんだよ…とんでもない計画に巻き込まれるんだよ…。」
呪文のように愚痴を唱えながら、リント・ディグラルは作業を続けた。
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