61人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あの世代が帰ってくると必ず一波乱起きる。もう始まっているかもしれない。アンタだって分かっているだろ?エドガー・ケースであの世代は分裂した。レイルやエドガーがあの世代を受け入れるなんて思えない。」
リントの口調は静かに強まっていく。
「今の生徒会はアドレフォレストの理想を掲げているだけで中身は別物だ。シルク・アイリスが中心のグループと対立している連中に、そいつらを引き合わせてどうするってんだ。」
「そうなるって決まった訳じゃ…」
「そうなる!」
リントは立ち上がった。ヲリエと目線が重なる。やっと拘束から逃れ、ヲリエを至近で捉えた。
「奴らは殺気立っている!それはその時が近付いているからだ。スヴェインが帰ってきているし、間も悪い。必ず何か起こるって分かるだろ!アンタなら!」
急にヲリエは肩を落とした。瞳を憂いに沈める。
納得してくれたと、リントは淡い希望を抱いた。
「…リントは、何故反対するの?そうなる事を。」
粛々と、ヲリエは切り出した。
「NOISEの役目じゃない。」
「理念に違えてはいないと思うけど。」
「俺達は誰かの為の瞬間を伝える為にいるんだ。アンタはその瞬間を作っているだけだ。テロリストと何も…」
リントは噛みつくように云った。正直心苦しさがあった。
だがヲリエは回帰した。顔に活力が漲っている。
リントの希望は、消えた。
「記事を作ってくだけじゃ届けられない想いがある。伝えるのは、ただ字を書くだけじゃない。
それだけじゃ、無いんだ。」
最初のコメントを投稿しよう!