5.コーリング・ユー

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「…セカンドアドレフォレストの阻止。」 編集室の空気が静寂に染まる。一瞬の内に空気は静寂に染め上げられたが、次第に滲むように小さな喧騒が疼き出す。編集室にいるNOISEのメンバーの思考が目まぐるしく動き出したと誰もが分かった。口に出さずとも、動きにせずとも分かった。只ならない緊張が着実に空気を浸食している。 「…誰の差し金?云い方は悪いけど。」 ヲリエは淡々と尋ねた。一番心を揺り動かされている筈の彼女が最も冷静に見えた。 「私は、シルク・アイリスの仲間です。」 「シルクさん…。」 重々しくヲリエは名を反芻した。ラウルが目つきを変える。 「シルク・アイリス…?!元両ノ手弓手四の指の、あの…?!」 「流石ラウル、知ってた。」 ヲリエが微笑んでラウルを見やった。 「兄さんから聴いた事あります。ウェルキン・ファウストの…恋人だって。」 「兄さん…?」 アインがラウルに向いた。ラウルは思わず背筋を伸ばした。アインと真っ正面に向き合ったのは初めてだ。 「僕より前にルーイ・クラウスター・ジュニアを名乗っていたんだ…。本名はブルーノ・クラウスター。」 「ブルーノ…。君、ブルーノの弟…。」 「兄さんを知っているの?」 「いつもからかわれる…。」 恨めしそうにアインが云ったのをヲリエが笑い飛ばした。 「あの人らしいな。元気なんだ?」 「嫌なくらい。」 「兄さんが、君の仲間なのかい?!」 ラウルはアインに歩み寄った。興奮しているようだ。
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