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【都への旅】
地方の有力者であった父が亡くなって、私と幼い弟が残された。
〇〇「え?都へ行くのですか?」
宿禰「はい。お父上の兄君が姫と真人様を引き取っていただけると」
〇〇「そうですか」
私と弟の真人、そして付き人の宿禰の三人で、この国から出ることになる。
母は早くに他界、もうこの国に親族はいない。
真人「お姉様、我等はどこへ行くのですか?御父上は一緒に行かないのですか?」
〇〇「……真人……」
小さなその手を握りしめる。
〇〇「私達は、これから京に参ります。明敏おじ様のお屋敷に行くのですよ」
真人「明敏おじ様っ!やったーっ!」
〇〇「……ふふっ」
宿禰「さあ、急ぎましょう」
〇〇「……そうですね」
急いで道を進んで行く。
夜には盗賊が出るという噂だ。
宿禰「…私だけでは、姫と真人様を守りきれませんので」
先頭を歩く宿禰は、道を確かめながら早足で進む。
真人「……お姉様……」
〇〇「!!」
真人は、その速さについていけずに、へばってしまった。
〇〇「宿禰!真人がついていけません!止まってください」
宿禰「すみません!大丈夫ですか?」
結局その夜は、野営をはることになった。
宿禰「姫と真人様はゆっくりお休み下さい」
〇〇「宿禰は?」
宿禰「見張りです。盗賊にあう可能性がありますから」
〇〇「ありがとう」
宿禰「もったいないお言葉」
夜はふけていく。
私は真人を抱いて眠りについた。
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