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【萌黄色の着物】
春馬の後をついていくと、ある部屋に着いた。
〇〇「こ……ここは……」
部屋の中には趣味の良い調度品がならんでいる。
春馬「お前の着物は高過ぎる。この着物、きておけ」
〇〇「……あ……ありがとう」
春馬に渡された着物は、品の良い萌黄色の着物だった。
それに手を通すと、まるでお日様に包まれたような優しい気持ちになる。
〇〇「綺麗な色……」
春馬「当たり前だ。俺の母上……いや、母ちゃんの着物だからな」
そう言って春馬は、にかっと笑う。その笑顔に思わず魅入ってしまう。
〇〇「そうですか……その…あなたの母上の……」
春馬「……春馬」
〇〇「……え?」
春馬「……春馬でいいぞ」
〇〇「……は、春馬……」
春馬「……ぷっ。照れてんのか?ほんと、変な女だな……」
私がまごまごしていると、春馬に顎をそっと触られる。
〇〇「へ……変な女じゃないです!〇〇って名前があるのですから」
私は、焦って春馬の手をはらうと、その手を逆に捕まれてしまう。
春馬「……〇〇。お前、俺の女になれ」
〇〇「…え?」
春馬「……俺の女に、なれ」
春馬はしっかりとした口調でそういうとぞっとするような笑みを浮かべた。
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