記憶フェイカー

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 いや、客観的に見ると春菜は結構スペックの高い奴だとは思うし、実際に噂も絶えない。まあ本人は、本気で自分は無価値な人間だと思い込んでいるから皆にたいして謙虚なんだろう。周りに気を使って謙虚に言う女子は多いが、こいつは本気なんだ。 「でもお前、勉強もスポーツもできて、結構優秀じゃん。性格は破綻してるけど」 「だから! 一言余計だって言ってんの!!」  スネ! だからスネ反則!! この暴力女め!! 「いつも言ってるでしょ? あたしは、運だけは良いの。たまたま結果が出ただけで、能力自体はそれに伴ってなんかいないわ。だから、あたしなんて大したことないのよ。まあ、あたしが世界で二番目に無能でも、あんたが一番だから辛くはないけどね」  笑顔で振り返ってそんなことをを言う。肩口まで伸びた結ばれてない髪がそれに対してふわりとなびく。そこだけ見れば夕日に当てられてさぞかし綺麗なのだろう。しかし今の俺はスネを抱えてしゃがみこんでいる状態だ。それに、振り向いた時になびいたのは髪だけじゃない。 「お前は可愛くないけど、白のレースは可愛いと思うぞ」 「しね!!」  飛び膝蹴りが顔面に食い込みました。お父さん、お母さん。今そちらに向かいます。
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